酒造り
0

第四回『「陸王」が欲しい』

非蔵人日記抄

第四回『「陸王」が欲しい』

少し遅くなりましたが、皆様あけましておめでとうございます。
蔵ではお正月関係なく酒造りは続いていますが、私自身は年末年始の4日間は休みを貰いました。何処かに出かけることもなく、専ら体を休息させることに専念しておりました。

9月からの4か月で、それまでの日常とは違い、身体を酷使する仕事で、見た目には相当スリムになったようで、最近会社の中で誰かにすれ違う度に「痩せた、痩せた」と囃し立てられます。確かにベルトの穴は二つぐらい詰めるようになり、少し体が軽くなったなぁと思うことがあり、試しに体重を量ってみると、5~6kgぐらいは落ちたかもしれません。(それ以前の体重を量ってないので、感覚的にですが)

もっと落ちてるのかと思ってましたが、少し筋力もついてるはずなので、差引するとその程度ということだろうと思います。

余分な脂肪以外にも失ったもの他にもあり 手指の酷使により腱鞘炎ぎみになり、上手く手が握れなくなり、ジャンケンの「グー」の形が指が痛くてしっかり出来ないので、今の私とジャンケンするひとは「チョキ」を出すと絶対に負けることはありません。

朝起きた直後は特に酷いので、カイロで温めるなりして血流を少しでも良くしようとしています。

下肢の筋肉の張り具合も相当なもので、因みにそれまで4か月使用していた、靴の底が両方ともに穴が開いてしまい、年末に買い替える羽目になりました(DIYで買った1980円の安物ですが)すり減ったゴム底の靴で作業していたのも良くなかったのかもしれません。

日常携帯しているスマホには「ヘルスケア」という便利なアプリがあり、一日の歩数、移動距離、上った階数というのが計測できるで、ある時からこれでデータチェックするようのなったのですが、大体1日の平均 歩数は14000歩前後、距離は7~8Km 階数は30階前後 最大値は歩数20000歩 距離にして10km 階数40階以上。

この数値をみて「それは痩せるはずだわ」と思いました。営業車で県外出張している頃なら、歩く距離なんてホテルの駐車場からホテルの玄関まで1日の移動距離にして1km以下なんてざらだったのに 今は十数キロの米を持って走る日常なので 身体のほうから「話が違う」と訴えてきているのでしょう(笑)

人間には環境適応能力というものがあるので「慣れ」ということもありますが、残念ながら年齢を重ねてくると一番落ちるのがこの能力なので 中々難しい状況ではあります。

昨年末TBSの「陸王」というドラマが高視聴率を獲得し話題になりましたが、私もこの番組を愛聴(但し録画で、日曜の九時なんて電気消してもう寝てますから)してましたが 観ていてわたしも嗚呼「陸王」が欲しい、自分にもシューフィッターが居てくれたら少しは筋肉の張りも改善されるかなと節に思いました。

まぁそれは望むべくもありませんが たとえDIY製でも新しい靴にすると随分感覚が違い少しは楽になったような気がします(気分だけですが)

酒造りは現在予定本数の1/3を消化段階でこれからが本番なので体調管理に留意して頑張れたらと思います。

こっちの不調とは違い酒の出来栄えは好調で、1/15には、お正月に杜氏が一人で上槽作業をした新しいタイプの清酒「鳴門鯛 純米 新酒しぼりたて」が発売になります。
鳴門鯛としては久しぶりに「辛口」を前面に謳った純米酒で辛口好きな方、燗酒が好きな方にご満足いただける仕上がりになっています。

お試しいただけましたら 新しい「鳴門鯛」を実感できるはずです。
鳴門鯛 純米 新酒しぼりたて

第四回 おわり

【筆者ご紹介】
本家松浦酒造 新人蔵人 竹内浩二
『鳴門鯛』と同じ村生まれ、初めて飲んだ日本酒は勿論 本家松浦酒造場謹醸 なるとたい『金松』。時期は秘密。次に飲んだのはそれから三十数年後 松浦酒造に面接に行く前の夜に吟醸『飛切』。
10代の後半からずーっと県外に在住だったので松浦酒造の存在そのものを忘れていた。世代的にはいわゆるバブル世代だが 生きてきた実感としてはバブル後始末世代ではなかろうか 若い頃の会社の上司はやれゴルフだ、やれ銀座だと交際費青天井で『♫サラリーマンとは気楽な稼業ときたもんだ♫』を地で行ってたが、そういう美味しい事がこちらまで降りてくる前に時代は回っていた。気がつけば周りの仕事先関係はアウトレイジな人やその共生者ばっかりの時期もあったような..,そんなこんなで数年前より郷里に帰り、今までの罪多き人生を反省しお天道様の下、少しでも世間様に何か良きものをお届けしたいと思い現在に至る。