大吟醸の選び方
しゅムリエちゃん(素)

お客さまから「大吟醸」について聞かれます。
何と説明したらいいですか?

素子さん(にこ)

国税庁の定義によると「大吟醸」とは精米歩合50%以下の酒米を吟醸造りで仕込み、固有の香味および色沢が特に良好なものとされています。

わかりやすくいうと「大吟醸」とは、最高の酒米を惜しみなく磨いて、蔵人が技と時間をかけて醸した最高峰の日本酒だと言えますね。

しゅムリエちゃん(はてな1)

いいお酒の代表格なんですね。
それでは、とっておきの贈り物を選ぶとき「大吟醸」にすればひとまず安心ですか?

素子さん(丸メガネにこ)

はい。「大吟醸」は贈り物におすすめですよ。
ずばり、贈り物として選ぶときのポイントは、酒米、精米歩合、化粧箱の3つです。
このページで詳しくご紹介しますね。

酒米を丁寧に精米して造り出すお酒「大吟醸」

しゅムリエちゃん(はてな1)

まずは「大吟醸」について教えてください。

素子さん(丸メガネにこ)

まずはお米の話から始めますね。
大吟醸を作るときは、酒造り専用のお米を使われることが多いです。
「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」または「酒米(さかまい)」と呼んでいます。

しゅムリエちゃん(素)

普通のお米とは違うんですね。

大吟醸の選び方
素子さん(指)

酒米は、食用米とは違って大粒なんですよ。
この写真、左側が酒米の「あわいちば山田錦」で、右側が食用の「アキサカリ」です。
酒米の方が、粒が大きいでしょう?

しゅムリエちゃん(素)

そうですね。

素子さん(丸メガネにこ)

酒米の表層部には、たんぱく質や脂肪分が含まれていて、これらの部分はお酒の雑味になると言われています。だから、大吟醸では、お米の表面をしっかり削り落としてから、お酒を造るんです。

しゅムリエちゃん(にこ)

なるほど。
ところで、さきほどの”精米歩合50%以下の酒米”とは、お米を半分以上削るという意味ですか?

素子さん(丸メガネにこ)

はい。お米の表層部を半分以上削ってしまいます。
わかりやすい例をあげると、精米歩合40%とは“60%を磨いて取り除き40%が残った状態“です。

しゅムリエちゃん(はてな2)

酒米と食用のお米は、どう違うのですか?

素子さん(指)

酒米には、真ん中に白い部分があります。これを「心白(しんぱく)」と呼んでいます。

心白(しんぱく)
しゅムリエちゃん(はてな1)

「心白」は初めて聞く言葉です。

素子さん(指)

「心白」の部分にはデンプンが多く含まれています。この心白の部分が美味しいお酒になるんです。 ちなみに、私たちが普段食べているお米には「心白」はないんですよ。

しゅムリエちゃん(にこ)

いつも食べているお米は、外も中も同じ色ですよね。

素子さん(指)

「心白」をきれいに残して削るには、高度な技術が必要です。
心白を壊さないように、ていねいに行います。
磨いたときに温度が上がりすぎないように、ゆっくり時間をかけて精米するんですよ。

しゅムリエちゃん(なるほど)

なるほど。

素子さん(丸メガネにこ)

結論からいうと「大吟醸」はじっくり時間をかけ酒米の表面を半分以上削り、「心白」を残したお米の中心部分だけで醸した、すっきりとした、果物のような香りの日本酒です。

しゅムリエちゃん(はてな1)

では、精米歩合 40%、精米歩合 39%などというように、酒米の表面を磨けば磨くほど、おいしくなるのですか?

素子さん(うーん)

うーん。必ずしも“磨けばいい“ってものではないんです。そこが日本酒造りの難しいところですね。
酵母とか、造りの方法とか、温度管理など、様々な条件によってお酒の味わいって変化するんですよ。

しゅムリエちゃん(キラ)

そういうものなんですね

素子さん(丸メガネにこ)

精米歩合は、日本酒の裏ラベルに明記されていますから、見てみてくださいね。

しゅムリエちゃん(指)

裏ラベルの表組になっている部分を見ればいいのですね?

素子さん(指)

そうです。例えば、当蔵の「鳴門鯛 大吟醸 褒」の裏ラベルには、精米歩合 48%と明記されています。

裏ラベル
しゅムリエちゃん(V)

ほんとですね!

素子さん(丸メガネにこ)

あわいちば山田錦という酒米を48%まで磨いた「鳴門鯛 大吟醸 褒」は、林檎のようにフルーティーですよ。
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」大吟醸部門で6年金賞を受賞しています。
赤い鯛のラベルで、金箔刷りもされているので、お祝い事などハレの日の贈り物におすすめです。

鳴門鯛 大吟醸 褒

精米歩合で決まる!大吟醸と吟醸

しゅムリエちゃん(はてな1)

ところで、大吟醸吟醸はどう違うのでしょうか?

素子さん(丸メガネにこ2)

ズバリ、吟醸酒とは”精米歩合60%以下の酒米を吟醸造りで仕込み、固有の香味および色沢が特に良好なもの”ということになります。

しゅムリエちゃん(はてな2)

さきほど、大吟醸は精米歩合50%以下の酒米を吟醸造りで仕込み、固有の香味および色沢が特に良好なものということでした。
それじゃぁ、大吟醸と吟醸の違いは精米歩合が50%以下か、60%以下か、ということだけですか?

素子さん(丸メガネ指)

はい。そうなんです。
わかりやすく図にするとこんな感じです。

精米歩合
しゅムリエちゃん(はあと)

すっきり、よくわかりました!

大吟醸と純米大吟醸の違いとは~”醸造アルコール”ってどんなもの?~

しゅムリエちゃん(はてな1)

もうひとつお聞きしたかったのは、大吟醸純米大吟醸の違いです。

素子さん(丸メガネ指)

ズバリ、純米大吟醸とは、”精米歩合50%以下の酒米を吟醸造りで仕込み、固有の香味および色沢が特に良好なもの”、さらに”醸造(じょうぞう)アルコールを添加しないもの”です!

しゅムリエちゃん(素)

「醸造アルコール」は添加物なのですか?

素子さん(丸メガネにこ2)

いいえ。醸造アルコールは添加物ではなく、香りを引き出すための原材料のひとつです。

しゅムリエちゃん(はてな2)

そもそも「醸造アルコール」とは?

素子さん(丸メガネにこ2)

「醸造アルコール」とは、トウモロコシ、サトウキビなどの食物を発酵させた純度の高いアルコールです。

しゅムリエちゃん(なるほど)

身近な食べ物が原料なのですね。

素子さん(丸メガネ指)

実は、日本酒を作る工程の中で、醪(もろみ)に「醸造アルコール」を加えると香りが高くなるんですよ。
醪(もろみ)の中の「吟醸香」は水には溶けませんが、醸造アルコールには溶けます。
醸造アルコールをプラスすることで、より多くの香り成分をお酒に溶け込ませることができます。

しゅムリエちゃん(にこ)

そうですか。
醸造アルコールが、清酒の香りを引き出す役割をしているのですね。

素子さん(丸メガネにこ2)

酒の量を増やすために入れているとか、食品添加物だと勘違いされている方もいますが、実はそうではないんですよ。

しゅムリエちゃん(なるほど)

なるほど!納得しました。

素子さん(丸メガネにこ2)

それと、もうひとつあるんですよ。
醸造アルコールを添加することにより、清酒の香味を劣化させる乳酸菌の増殖を防止する効果もあります。
ちなみに、次に説明する特定名称酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。

しゅムリエちゃん(キラ)

少しだけ加えて、香りを引き出しているのですね。

素子さん(丸メガネ指)

醸造アルコールを加えた大吟醸は香りがグンと引き立てられています。
一方、醸造アルコールを加えていない純米大吟醸は、香りがふんわり、やわらか。
繊細でやさしい日本酒がお好みの方には、純米大吟醸がおすすめですよ。

しゅムリエちゃん(素)

はい

素子さん(丸メガネにこ2)

純米大吟醸をひとつご紹介しますね。
酒造好適米 山田錦を40%まで丹念にみがきあげ、30日じっくりと低温発酵にて造られた「鳴門鯛 純米大吟醸 寿」です。
旬の脂がのった鯛やヒラメなどの白身の刺身と組み合わせると絶品ですよ。
もちろん、とっておきの贈り物におすすめです。

鳴門鯛 純米大吟醸 寿

ひと目でわかる!日本酒(清酒)の見分け方

素子さん(丸メガネにこ)

せっかくなので、日本酒の全体的な分類について説明しましょうか?

しゅムリエちゃん(素)

はい。ぜひお願いします。

素子さん(丸メガネにこ)

こちらが国税庁が定めた、特定名称と呼ばれる清酒の分類表です。
ちなみに日本産の原料を用いて国内で醸造したものを「日本酒」といい、海外産も含め、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させてこしたものを「清酒」と言います。
うちでは「日本酒」のみを取り扱っていますよ。

(参考)国税庁日本酒造組合中央会「清酒」と「日本酒」について

【全8種】特定名称酒一覧表!

醸造アルコールあり醸造アルコールなし▼主な特徴
大吟醸酒純米大吟醸酒精米歩合50%以下・吟醸造り
吟醸酒特別吟醸酒精米歩合60%以下・吟醸造り
特別本醸造酒特別純米酒精米歩合60%以下・特別な製造方法
本醸造酒純米酒精米歩合70%以下
素子さん(丸メガネ指)

大吟醸酒、純米大吟醸酒、吟醸酒などの日本酒を「特定名称の清酒」といいます。
醸造アルコールの有無や精米歩合・製造方法などによって8種類に分類されているんです。

しゅムリエちゃん(指)

一見むずかしそうですが、じっくり眺めると見慣れた名称がありますね。

素子さん(丸メガネ指)

大吟醸酒、純米吟醸などの特定名称酒として商品ラベルに表示するには、原料・製造方法など、いくつかの条件が定められています。

しゅムリエちゃん(なるほど)

なるほど

素子さん(丸メガネにこ)

精米歩合や醸造アルコール添加の有無以外にも様々な条件があるのですが、ここではむずかしくなるので省いてもいいですか?

しゅムリエちゃん(キラ)

はい。シンプルな説明でお願いします。

素子さん(丸メガネ指)

醸造アルコールの添加がない酒には、純米という文字が入っていますよね。
純米酒とは、米、米こうじだけを原料にして製造された日本酒のことです。

純米酒のグループは、純米大吟醸酒、純米吟醸酒、特別純米酒、純米酒の4つと覚えておきましょう。

しゅムリエちゃん(指)

純米の意味が、よくわかりました!

素子さん(丸メガネにこ)

あとは、豆知識としてひとつ紹介するね。
「大吟醸」は、広島県の吟醸造りがルーツと言えるでしょう。
そこから、全国の酒蔵が出品する新酒鑑評会での最高峰を目指し、磨きあげられ続けている特別なお酒と行っても過言ではないでしょう。

しゅムリエちゃん(やった)

へぇ~!大吟醸って日々進化しているんですね!
飲んでみたくなります!

大吟醸や吟醸が美味しい理由~吟醸作りは蔵人の努力の証!~

しゅムリエちゃん(指)

ところでさっきから気になっていたんですが、吟醸造りとは何でしょうか?

素子さん(丸メガネにこ)

国税庁のホームページでは吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することと書かれています。

しゅムリエちゃん(えー)

わぁ!むずかしいですね

素子さん(丸メガネ指)

吟醸造り専用の優良酵母が開発されたり、原料米の処理、発酵の管理から瓶詰・出荷に至るまでの高度な吟醸造り技術が進歩したことで、美味しい吟醸酒が広まりました。
「吟醸酒」と表示できる要件として、「精米歩合60%以下(玄米を外側から40%以上削る)の白米を使い、吟醸造りをし、吟醸酒固有の香味、色沢が良好なもの」という定義もあります。

しゅムリエちゃん(キラ)

精米歩合も決まっているんですね。

素子さん(丸メガネ指)

「吟醸造り」をわかりやすく説明すると、精米歩合60%以下の白米を原料にして、低温で長期間発酵させて醸す方法と言えますね。
簡単に言うと、お米をゆっくり溶かすから発酵時間が長くなる。
米のよい部分を使うから、キレイな清酒になるというわけです。
だいたい5度〜10度くらいの低温で、1ヶ月くらいの時間をかけて発酵させる場合が多いです。

しゅムリエちゃん(にこ)

なるほど!

素子さん(丸メガネ指)

低温でゆっくり発酵させることで、特別な芳香が生まれ、フルーティーな香りになります。
もちろん、それぞれの蔵元は様々なアプローチから「吟醸造り」の方法に工夫を重ねています。
それぞれの蔵が個性のある特有な芳香を出すために、原料米、酵母、造りの方法などを吟味しながら酒造りに取り組んでいます。

しゅムリエちゃん(はあと)

「吟醸造り」にも蔵の個性があるんですね。

素子さん(丸メガネにこ2)

わたしたち杜氏と蔵人は、吟醸造りをはじめとして、日本酒のおいしさを今以上に磨いていきたいと切磋琢磨しています。
蔵人たちが頑張って醸している全国津々浦々の吟醸酒を、皆さんにはいろいろ楽しんでいただきたいと思います。

【贈り物に最適】蔵元が教える大吟醸を選ぶときの5つのポイント

しゅムリエちゃん(キラ)

「大吟醸」の選び方のコツはありますか?

素子さん(丸メガネにこ)

どの酒蔵も「大吟醸」「純米大吟醸」には、とても力を入れて造っていますので、とっておきの贈り物として太鼓判を押せます。

しゅムリエちゃん(はてな1)

たくさんあるので、どれを選んだらいいのか迷います。

素子さん(丸メガネにこ2)

そうですよね!ここでは選び方のヒントをご紹介しますね。

1.酒造好適米や産地で選ぶ

酒米で選ぶ

まずは、酒米で選ぶです。
さきほども話しましたが、代表的な酒造好適米には、山田錦(やまだにしき)、雄町(おまち)、五百万石(ごひゃくまんごく)などがあります。

最も生産量が多いのが山田錦で「酒米の王」と呼ばれています。兵庫県をはじめとして、主に西日本で生産されているのが山田錦ですね。
雄町は、いったん生産量が激減し「幻の米」と呼ばれる時期もありました。雄町特有のふくらみのある味わいがあります。
五百万石は雪の降る寒い地域で成長する品種で、すっきりしたキレのあるお酒になるといわれています。

しゅムリエちゃん(はあと)

どれも飲みたくなりますね。

2.精米歩合で選ぶ

精米歩合で選ぶ

さきほど、大吟醸とは、精米歩合50%以下の酒米を吟醸造りで仕込み、固有の香味および色沢が特に良好なものと説明しました。

世間では、日本酒の歴史上最高の精米歩合となる0.85%以下をついに達成!とか、極上の味を求めて一時全国の酒蔵の間で精米歩合競争が話題になったりしたこともありますよ。

もし、個性の強い日本酒を贈りたいなら、精米歩合にこだわってみるのもおもしろいかもしれません。

しゅムリエちゃん(はてな1)

お話を聞いていてちょっと気になったのですが、精米で削られたお米は捨てられてしまうんですか?

素子さん(丸メガネ指)

いえいえ。精米した残りの粉になった部分は、家畜の飼料などに利用していますから安心してください。SDGsにも配慮していますよ。

しゅムリエちゃん(はあと)

ほっ、よかったです。

3.有名な酒蔵やブランドで選ぶ

有名な酒蔵やブランドで選ぶ
しゅムリエちゃん(はてな1)

“日本酒”と聞かれて頭に浮かぶ有名なブランドには、どんなブランドがありますか?

素子さん(にこ)

うむ~、真っ先に鳴門鯛と言いたいところですが、

全国的に有名なのは、獺祭(旭酒造)、久保田(朝日酒造)、八海山(八海酒造)、越乃寒梅(石本酒造)、梵(加藤吉平商店)、醸し人九平次(萬乗醸造)、黒龍(黒龍酒造)、鍋島(富久千代酒造)、十四代(高木酒造株式会社)などがあります。

しゅムリエちゃん(素)

ほかにもありますか?

素子さん(にこ)

もちろん!たくさんありますよ!
我々の鳴門鯛は、もちろん一番に紹介したいですが、

No.6[ナンバーシックス](新政酒造)、作[ザク](清水清三郎商店)、南部美人(株式会社南部美人)、くどき上手(亀の井酒造)、雪の茅舎(齋彌酒造店)など、
個性的なネーミングや製造方法にこだわった日本酒は全国にたくさんあります。

しゅムリエちゃん(やった)

いろいろあって、おもしろいですね!

4.デザインで選ぶ

有名な酒蔵やブランドで選ぶ
しゅムリエちゃん(キラ)

私はデザインも気になるんです。

素子さん(丸メガネ指)

そうですね。
贈り物なんですから、好きなラベルや素敵な化粧箱のお酒を選ぶのもいいですね。

金箔刷り、銀箔刷りなどの高品質な印刷技術を使っているラベルや箱は、お祝い事や記念品などのハレの日の贈り物におすすめです。
当蔵の大吟醸は、金刷りの印刷にこだわっています。金色の部分は本物の金箔を使っているんですよ。

5.コンテストの受賞酒を選ぶ

しゅムリエちゃん(指)

他にも選ぶポイントはありますか?

素子さん(にこ)

コンテストやアワードで受賞をしたものを選ぶのはどうでしょう?
国内外には、いろんな日本酒コンテストがあるんですよ。
これらの賞を受賞した日本酒を選ぶものも、とてもいいヒントになると思います。