新鮮な梅の実が、スーパーマーケットの売り場に並ぶ季節になりました。
「梅酒」作りは難しそうと思うかもしれませんが、実際にはとても簡単なんですよ。


この記事では、酒造会社の製造部の人が教える「梅酒レシピ」をご紹介します。

しゅムリエちゃん(素)

最近、SNSで「梅仕事」という言葉、よく見かけるんです。
梅仕事って、梅酒や梅干しを作ることなんですよね。
わたしも、今年は梅酒に挑戦してみたいなぁと思い始めました。

おいしい梅酒の作り方、教えてもらえませんか?

素子さん(丸メガネ指)

はじめての「梅仕事」ですね。

うちは「3年熟成プレミアム梅酒 神領」や「長期熟成梅酒 神領 梅の匠 藤岡」などを造っている酒蔵ですから、梅酒作りのノウハウはいっぱいありますよ。

しゅムリエちゃん(はてな2)

はじめてなので、まったくわからないのです。教えてください!

素子さん(丸メガネにこ)

今日は特別に、本家松浦酒造場の梅酒の作り方を教えちゃいます!
製造部の竹内さん、よろしく~!

竹内さん(うーん)

蔵元!梅酒の作り方、ホントに教えちゃっていいんですか?!

素子さん(丸メガネにこ)

しゅムリエちゃんに、美味しい梅酒を作ってもらいましょう!

しゅムリエちゃん(はあと)

よろしくお願いします<(__)>

竹内さん(そうですか)

それでは、今日は、うちの定番梅酒のベースとなっている「甘くない梅酒」の作り方をご紹介しますね。
実は、この「甘くない梅酒」、漬け込むときには砂糖を入れないんですよ。

しゅムリエちゃん(はてな1)

そうなんですか!?
砂糖はいつ入れるんですか?

竹内さん(笑顔)

まずは、青梅とアルコールだけで漬け込み、「甘くない梅酒」を作ります。
蔵では瓶詰めする直前に、砂糖などの材料を混ぜて、甘さや辛さを調整しています。
安定した品質の商品を作るためのノウハウなんですよ。

しゅムリエちゃん(なるほど)

なるほど!

竹内さん(そうですか)

砂糖を入れない梅酒のメリットは、飲む人の好みによって、甘さを調整できることです。

しゅムリエちゃん(やった)

なるほど、それはいいですね。
いつも母が甘い梅酒を作っていて、私にはちょっと甘すぎるんです・・・。

竹内さん(そうですか)

完成した「甘くない梅酒」に好きな甘みを足して、自分好みの味にブレンドするのがおすすめですよ。
きび砂糖、はちみつ、メープルシロップなど、好きな甘味を選んで楽しめます。

しゅムリエちゃん(やった)

では、梅酒レシピを教えてください。
よろしくお願いします!

竹内さん(指)

実はね、砂糖を入れない梅酒には、いくつか大事なポイントがあります。
こちらをまずはチェックしてくださいね。

そもそも砂糖はなぜ入れるのか?

梅酒を漬け込む際に入れる砂糖には、とても重要な役割があります。

ひとつは、砂糖の殺菌作用で腐敗を防ぐこと。
もうひとつは、浸透圧を利用して梅のエキスを抽出しやすくすること。


このふたつの役割を砂糖を入れない梅酒でどうやって補うのか、それにはふたつのポイントがあります。

度数の高いアルコールを使う

ポイントひとつ目は「度数が40度以上のアルコールを使う」です。
梅酒作りでよく使われるホワイトリカーは35度ほどですから、砂糖なしの梅酒を作るのには向いていません。
製造過程で梅から流れ出た水分が増えるため、アルコール度数が薄まるからです。

砂糖を入れる梅酒の場合、40度以上のアルコールを使うことで、アルコール度数が下がっても砂糖が殺菌作用を保ち、カビや腐敗を防いでいます。
砂糖を入れない梅酒の場合は、アルコール度数の高いものを使いましょう。
弊社では45度の自家製ウォッカを使っています。
今回は市販の50度のウォッカを用意しました。

梅を冷凍させてから作る

次のポイントは「梅をひと晩冷凍してから使う」です。
砂糖がないと梅のエキスが排出されにくいので、ひと晩冷凍します。

梅を冷凍すると細胞が壊れ、エキスが出やすくなるので、砂糖を入れない梅酒でも十分にエキスを抽出することができます。

冷凍する代わりに、梅の実全体に竹串でたくさんの穴を空けるのもいいですよ。

甘みを調整できる「甘くない梅酒」の作り方

では早速、仕込んでいきましょう!

梅とウォッカは1対1の同量です。覚えやすいですね。

近くの道の駅できれいな「鶯宿梅(おうしゅくばい)」を見つけましたので、今日はこちらを使います。

丁寧にヘタを取っておくと、仕上がりが違います。
「甘くない梅酒」材料

●青梅 700g ●ウォッカ 720ml
●漬け込み容器 1つ
●竹串 ●キッチンペーパー ●食品用アルコール

「甘くない梅酒」作り方

(下準備)漬け込み容器は、熱湯で殺菌消毒します。
乾燥したら食品用アルコールをスプレーしておきます。

1.青梅をボウルに入れ、流水で洗います。
梅のヘタを竹串できれいに取り除き、もう一度洗ってキッチンペーパーで水分をよく拭き取ります。
この時点で傷が付いているものや傷んで柔らかくなっている梅は、取り除きましょう。

2.冷凍する場合は、青梅をビニール袋などに入れて、一晩、凍らせます。
時間がない場合は、梅の実全体に竹串でたくさんの穴を空けます。

3.青梅とウォッカを、漬け込み容器に入れ、しっかりと蓋をします。

4.キッチンの棚など、冷暗所で6ヶ月ほど寝かせます。6ヶ月以降が飲み頃です。
梅の実は6ヶ月から1年したら取り出しましょう。



しゅムリエちゃん(なるほど)

へぇぇぇ、意外に簡単なんですね!

竹内さん(そうですか)

でしょ?
シンプルだから、初心者さんでも簡単に仕込みができますよ。
漬け込みが終わったら、きび砂糖、はちみつ、メープルシロップなど、好みの甘みをプラスして、飲んでみてくださいね。

しゅムリエちゃん(やった)

いいですね。私にもできそうです。

三温糖とか、きび砂糖とか、黒糖とかも、ヘルシーになっておいしそうですよね。
和三盆を入れたら贅沢な梅酒になりそうです。

竹内さん(笑顔)

そうなんです。
甘みをアレンジすることで、味の変化を楽しめるのがこの甘くない梅酒の魅力ですね。
氷を浮かべてロック、氷と水を入れて水割り、炭酸水で割ってソーダ割りなど、飲み方もアレンジして楽しんでくださいね。



竹内さん(指)

さてさて、甘くない梅酒の作り方をご紹介したところで、これをベースに「家庭でできる!とうがらし入りの梅酒」を作り方を教えちゃおうかな・・・



しゅムリエちゃん(はてな2)

梅酒に「とうがらし」って、意外ですよね。

竹内さん(指)

実は、当蔵の商品にもとうがらし梅酒があるのです。 今回は、ちょっとそれをアレンジしたレシピをご紹介したいと思います。 蔵元、作り方をご紹介してもいいですか?



素子さん(丸メガネにこ左)

とうがらし梅酒」は、密かに根強いファンの多い当蔵の人気梅酒なんですが、今回は特別ですよ!

竹内さん(笑顔)

それでは、蔵元からOKいただきましたので、今回は特別に「家庭でできる!ピリピリ梅酒」のレシピをご紹介しましょう。

しゅムリエちゃん(はあと)

ありがとうございます!!

「家庭でできる!ピリピリ梅酒」の作り方

「ピリピリ梅酒」材料

●甘くない梅酒 200ml
●お好みの砂糖 100g(好みで増減してください)
●鷹の爪 1本 ●パプリカパウダー(粉末) 2g

「ピリピリ梅酒」作り方

1.甘くない梅酒を200ml計量し、ガラスの器に取り分けます。

2.鷹の爪は、中の種をすべて取り除きます。
(取り除かないと、とっても辛くなっちゃいますのでご注意を)

3.甘くない梅酒を入れたガラスの器に、種を抜いた鷹の爪、砂糖、パプリカを入れ、しばらく置いたらできあがり。

竹内さん(指)

パプリカパウダーを入れると香辛料の香ばしい風味が出るんです。
これは、辛み付けのためではなく、赤い色を付けるための材料ですから、ご家庭にない場合は入れなくても大丈夫です。

しゅムリエちゃん(キラ)

なるほど! 甘くない梅酒が完成したら、「家庭でできる!とうがらし入りの梅酒」にも挑戦してみたいと思います。
鷹の爪を入れて、しばらく置くというのはどれくらいですか?
1時間くらい?それともひと晩ですか?

竹内さん(そうですか)

うーーん、鷹の爪の辛さにもよるんですが、ひと晩くらいを目安に様子を見てみてください。

しゅムリエちゃん(素)

わかりました!

竹内さん(笑顔)

甘くない梅酒をつくってみて、半年後には「家庭でできる!ピリピリ梅酒」にも挑戦してみてください!

しゅムリエちゃん(やった)

蔵元、竹内さん、ありがとうございました! さっそく青梅を買って、自宅でやってみたいと思います。

竹内さん(笑顔)

半年後まで、待つ時間も楽しみですね。
ちょっと待てないなぁという方は、当蔵の梅酒も味見してみてくださいね。


しゅムリエちゃん(はてな1)

梅仕事は初めてだったので、すごく参考になりました。
ヘタを取る作業もあるんですね。
大量の梅酒を作るのに、全部ヘタを取っているのですか?

素子さん(にこ)

はい。当蔵では、梅の取れる時期には、手の空いてる人が総出でヘタを取る作業をします。
その日仕込む梅は、その日のうちにヘタを取って梅酒に仕込むんです。




しゅムリエちゃん(素)

すごいですね!手早く仕込むのは大事なんですか?

素子さん(丸メガネ指)

そうなんですよ。新鮮な梅を、スピーディーにアルコールに漬け込むのはおいしい梅酒を作る大切なポイントです。

それと梅の品種も大切なんですよ。

しゅムリエちゃん(にこ)

梅にも品種があるんですね?!

素子さん(丸メガネにこ)

店頭で販売しているときには青梅としか書いてない場合がありますが、梅農家さんはしっかり品種にこだわって栽培していますよ。

しゅムリエちゃん(素)

なるほど。

素子さん(丸メガネ指)

うちの蔵のこだわりは、神山町で栽培された「鶯宿梅(おうしゅくばい)」を使用していることです。
産地と品種を限定して同じ農家さんから購入することで、常に品質が高く、味わい深い梅酒ができます。
それを守り続けることが使命だと思っているんですよ。

しゅムリエちゃん(はあと)

蔵のこだわりを感じます!
ちなみに「鶯宿梅」とはどんな梅なんですか?

素子さん(にこ)

「鶯宿梅」平安時代からある日本の在来種とされる品種です。

実は「鶯宿梅」の生産量は、徳島県がナンバーワン。果肉が硬く、梅酒にしても溶けにくいので、梅酒向きの品種なんですよ。

しゅムリエちゃん(なるほど)

へぇ! 平安時代から採れていた梅なんですね。
平安貴族たちが梅酒を飲んでいたかもしれませんね?!



素子さん(にこ)

「鶯宿梅」、魅力的でしょう?
私たちが「鶯宿梅」で漬け込んだ梅酒たち、いろいろありますから、飲み比べてみてくださいね。

しゅムリエちゃん(やった)

わかりました!
まずは、どれを飲んでみたらいいですか?

素子さん(指)

そうですね。「鶯宿梅」の魅力がわかりやすいのは、「3年熟成プレミアム梅酒 神領」とか、「にごり梅酒」ですね。

しゅムリエちゃん(キラ)

梅酒を仕込んでから「半年かかる!」というのは驚きでした。
待っている間は、蔵の梅酒をお試ししてみますね。(笑)

この記事の監修

十代目蔵元 松浦素子
本家松浦酒造場
本家松浦酒造場 十代目蔵元 松浦素子

2009年実家である本家松浦酒造場に入社。
それまではウィスキー、ジン派で日本酒はどちらかというと苦手だったが、40代で酒蔵への転職を決めてからは、きき酒師試験を受けるため、東京などで日本酒の飲み比べにはまる。
20代の頃飲んだ日本酒とはまったく違う日本酒になっていることに感激。
酒蔵に入ってからは、日本酒と料理のマリアージュが食事の味わいを深めることをさらに実感する日々である。
自らの体験を元に十代目蔵元として日本酒の奥深さ、楽しさを広める伝道師であることをライフワークとしている。